Muse Spacesを半日使って考えた、「自由さ」の設計

テーマは自由で、作られる構造にはあらかじめ想定された型がある。Muse Spacesで10個以上のアプリを作った体験から、型と部品の組み合わせを「自由に作れる体験」に変える工夫を考える。

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ベージュの背景に青・緑・オレンジのアプリ画面が散らばり、右側では同じ形のカードが格子状に並ぶイラスト

2026年11月7日、Museの無料プランでSpacesを半日使ってみました。

Muse Spacesは、MetaのMuseアプリの中に、自分用のツールやページを作れる機能です。欲しいものを言葉で伝えると、その内容に合わせた画面や機能が作られます。できあがった後も、対話を続けながら見た目や動きを調整できます。

Metaの公式発表では、予定の管理、ゲーム、旅行の計画などが例として挙げられています。作ったSpacesはMuseのサイドバーやメインのタブに置けます。この記事では、そこで作った道具を「アプリ」と呼びます。

この半日で、10個以上のアプリを作りました。ニュースボード、グルメ、旅行プラン、恋愛アドベンチャーゲーム(ADV)、Todoなど、頼んだテーマはばらばらです。用意されたカタログから選ぶ形ではなく、自分の言葉から、その都度アプリが組み立てられていく感覚がありました。

ただ、作るほどに、できあがるものには共通する構造があると感じました。「何を作るか」は自由で、「どういう作りになるか」には、あらかじめ想定された型があると感じました。

Muse Spacesの自由さは、設計されている。型や部品の組み合わせを、自分の言葉で自由にアプリを作る体験にしている。

これが、半日使って私がいちばん言いたくなったことです。私がすごいと感じたのは、技術そのものの新しさより、その組み合わせを「自分のアプリを作る体験」として成立させる工夫でした。

テーマは、カタログから選ばなくてよかった

最初に伝えたテーマは、ITエンジニアに関係する情報でした。そこから、AI・開発ニュースボード、技術記事・リンク保存ボード、学習メモ・ブログネタ帳の三つを作りました。

ニュースボードは、記事を集め、日本語の短い要約と出典リンクを並べるものです。保存や既読管理、カテゴリでの絞り込み、毎朝の自動更新も入りました。リンク保存ボードでは、URLから取得したタイトルや概要にメモやタグを付けて残せます。学習メモ・ブログネタ帳には、メモを複製してブログネタにする機能もありました。

その後、移動、予定、食事、旅行などにもテーマを広げました。この日に作成を進めたアプリを並べると、次のようになります。

  • AI・開発ニュースボード
  • 技術記事・リンク保存ボード
  • 学習メモ・ブログネタ帳
  • 行き方調査アプリ
  • 今日の予定アプリ
  • おすすめグルメアプリ
  • X投稿アプリ
  • 旅行・日程作成アプリ
  • Xバズ投稿ランキング
  • ガジェットニュースアプリ
  • 経済・株ニュースアプリ
  • イラスト・画像作成アプリ
  • Todoリスト
  • 学園恋愛ADV

Todo、イラスト生成、ニュース、旅行、恋愛ADVなど、異なるテーマのSpacesが並ぶサイドバー

作成したSpacesの一覧。ニュース、旅行、ゲームなど、題材はばらばらです。

料理・レシピアプリもテーマを伝えましたが、どんな形にするかはまだ決めていません。

少なくとも入り口では、「作れるアプリの一覧から選ぶ」という感覚はありません。自分がやりたいことを、そのまま題材として渡せます。この段階では、かなり自由に作れるように感じました。

題材が違っても、構造には型があった

いくつも作るうちに、ニュースを扱っていても、旅行やタスクを扱っていても、画面で繰り返す操作は似ていることに気づきました。私から見えた基本形は、大きく次の二つです。

データを保存するタイプ

リストやボード、記録系のアプリです。フォームで情報を登録し、一覧で確認し、必要に応じて編集して保存します。今回作ったものでは、Todo、旅行プラン、リンク保存ボードがこの型に当たります。

入力した内容を後から見返したり、使いながら更新したりできることが、この型の基本です。

Todoアプリの日付、進捗、今日・今後・すべて・完了のタブ、タスク一覧と追加ボタン

Todoアプリ。タスクを追加し、一覧で確認しながら完了にしていく構成です。

その場で情報を見せるページタイプ

情報を検索・取得し、要約して一覧に並べ、その場で読めるようにする型です。ニュースボードやランキングで、集めた情報を見せる部分がこれに当たります。

欲しい情報を集めて、読みやすい形に整える。扱うテーマがAIでもガジェットでも、この流れには共通点がありました。

AI・開発ニュースボードの記事一覧。カテゴリを切り替えるタブと、記事を保存する星のボタンが並ぶ

ニュースボード。集めた記事を、要約や出典とともに一覧で見せています。

二つの型を組み合わせる

二つの型は、一つのアプリの中で組み合わせられます。ニュース一覧に保存やメモを足せば、情報を見るページに記録する役割が加わります。ランキングに日別の保存を付けることもできました。

毎朝自動で情報を取り直す。検索して要約して並べる。フォームで登録して一覧で見る。気になるものを保存し、メモを付ける。カテゴリやジャンルで絞り込む。題材が変わっても、こうした部品が繰り返し現れます。

最初は「何でも作れる」ように見えたものが、途中からは、型と部品の組み合わせとして見えてきました。ここでいう型は、作ったアプリを見比べて私が捉えた、構造や操作の共通点です。

頼む側は、「旅行のしおりが欲しい」「開発ニュースを読みたい」と、日常のやりたいことを言葉にできます。それが、情報の取得、一覧、保存、編集といった形に落とし込まれる。テーマの自由さと、できあがる構造の共通性は、同時に成り立っていました。

対話で部品を組み替えることも、自由さの一部

作って終わりでもありませんでした。触っていると、保存したい、もっと細かく分けたい、今の画面は見づらい、といった要望が出てきます。それを言葉で伝えると、また構成が変わります。試した時間の後半は、新作を増やすことより、すでにあるアプリを直したり、機能を足したりすることが中心でした。

今日の予定アプリはGoogleカレンダーの予定を表示するもので、最初は更新中のまま固まったり、取得に数分かかったりしました。修正を頼むと、更新のたびにAIエージェントを動かす方式から、サーバーがカレンダーを直接取得する方式に変えた、と報告されました。失敗を表示して再試行できるようにし、カレンダーの色に応じて、自分の予定と参考の予定も分けてもらいました。

Xバズ投稿ランキングでは、最初の「AI・開発・IT」という分類を、フロントエンドやバックエンド、開発ツールなどに細分化してもらいました。すると選択肢が二段に並び、今度は画面が分かりにくくなりました。そこで、分野の切り替え、ジャンルのプルダウン、リセットを、一つのパネルに整理してもらいました。

さらに、今日の分は更新時に取り直し、過去の日付はその日の確定内容を保存して見返す、という日別の記録も加えました。「細かくして」の次に「整理して」が来て、「保存して」の次に「日ごとに残して」が来ます。

こうして、使いながら違和感を伝え、部品を足したり、配置や取得方法を変えたりできる。最初に選んだテンプレートを使うだけで終わらず、自分の言葉で手を入れていけることが、「自由に作っている」という感覚につながっていました。

イラスト生成アプリに見えた、組み合わせの工夫

作った中でよかったのが、イラスト生成アプリです。「お題ガチャ」で題材を選べるので、さっと画像を作りたいときにもすぐ始められます。細かく決めたいときには、モチーフ、場所、雰囲気、色合いを組み合わせて指示を作り、スタイルや画像の形も選べます。

生成も速く、短い待ち時間で結果を見られました。下の動画は実際の操作を編集せずに収録したものです。お題を選んで画像を生成し、詳細設定を開くまでの操作が入っています。待ち時間のカットや早送りはしていません。

お題ガチャから画像生成、詳細設定までの操作記録。実際の待ち時間を含みます。

作った画像はギャラリーに並びます。タイトルやプロンプトで検索でき、AI生成と手描き、お気に入り、スタイルで絞り込む構成です。前に作った画像を見返せるところも便利でした。

このアプリ自体も、数分で作れました。アプリができるまでの速さと、その中で画像を生成する速さの両方が印象に残っています。

ここにも、条件を入力する、実行する、結果を一覧で見る、という構造があります。お題ガチャや詳細設定、生成、ギャラリーを組み合わせることで、さっと作る使い方にも、条件を詰める使い方にも応えられます。その一連の操作がつながったものを、自分の要望から作ってもらえた。型の組み合わせが、使いたいアプリになった具体例でした。

型をまたごうとすると、境界が見えた

自由に作れる感覚が強くなると、作ったアプリ同士もつなげたくなりました。X投稿アプリを作ったとき、すでにあるニュースボードから情報を引っ張ってきて、投稿文を作ればよいと考えました。同じMuseの中にある、自分のSpacesです。

公式発表では外部アプリと接続する使い方も紹介されていますが、ここで私が試したかったのは、自分で作ったSpaces同士のデータの受け渡しです。今回試した範囲では、ニュースボードをX投稿アプリから直接読む形にはできませんでした。作成時には、別アプリへの読み取りが拒否されると説明されました。

そこで、ニュースボードと同じ検索・要約の仕組みを、X投稿アプリにも入れてもらいました。このアプリ自身が集めたニュースから題材を選び、投稿文を生成し、編集と文字数の確認をして、Xの投稿画面へ渡す形です。URLを貼って投稿文の下書きを作る機能も、後から加えました。

一つのアプリに一覧や保存を足すことは進めやすいのに、別々に作ったアプリをまたぐところでは止まる。私には、それぞれのアプリを完結させる枠が見えた場面でした。

恋愛ADVでは、アダルトコンテンツへの制限も確かめました。ゲームのテンプレートはしっかりできていて、細部を詰めれば遊べるゲームに仕上げられるという手応えはありました。ただ、ゲームとしての完成度にはまだ課題があり、アダルトコンテンツには明確な制限がかかっていました。

学園恋愛ADV「放課後シグナル」の開始画面。主人公名の入力、はじめから、エンディング集、登場人物のボタンがある

恋愛ADVの開始画面。主人公名の入力や、開始・エンディング集・登場人物への導線が揃っています。

ゲームを作り込めることと、生成できる表現に制約があることは別です。題材を渡せる自由さの中にも、扱える機能や内容の範囲がある。それも、使ってみて初めて具体的になりました。

性的コンテンツの扱いについては、気になる報道もあります。2026年10月25日のWIRED日本版の記事では、Museが成人ユーザーとの一対一の非公開チャットで性的なテキストのやりとりを認めていると報じられています。人間のアダルトクリエイターがSNS上で受ける制限との不均衡も指摘されていました。

この報道と今回の体験を並べると、その後、制限の運用が改善されたのだろうか、それともプランによって扱いが違うのだろうか、という疑問も持ちました。ただ、報道の対象はMuseのチャットで、私が試したのは無料プランのSpacesでのゲーム作成です。同じ条件での比較や、有料プランでの検証はしていないので、今回の結果だけでは理由までは分かりません。

フロントエンドエンジニアとして、何がすごいと思ったか

普段フロントエンドを書いている立場からすると、一覧やフォーム、保存、絞り込みは見慣れた仕組みです。今回できたアプリの構造自体に、未知の技術に出会ったような驚きはありませんでした。

印象に残ったのは、そうした仕組みを、頼んだテーマに合わせて組み立て、動くものとして返し、さらに言葉で直していける形にしていることです。使う側は、最初からデータの持ち方や画面構成を決めなくても、「やりたいこと」から始められます。

返ってきた画面を見ると、次に欲しいことも分かります。ランキングを細分化して初めて、選択肢が多すぎると気づく。一覧を見られるようになってから、過去の日付も残したくなる。こうした要望を、また型や部品の組み替えへ戻していけます。

この往復があるから、決まった形を選ばされている感覚になりにくいのだと思います。テーマは自分で決め、修正も自分の言葉で頼み、少しずつ自分の使いたい形へ寄せていく。構造には共通点があっても、自分がアプリを作っているという体験が成立します。

作った型を、アプリとして使うかどうか

旅行アプリでは、日程、スポット、予算、持ち物などを管理するものができ、しおりのPDFもしっかり出力できました。旅行タイトルや行き先、日付、予算、メモを入力する画面も揃っています。

ただ、私自身は、こうした情報の入力や整理をAIエージェントに任せることが多いです。出力してほしい項目や形式を、AIに渡す作業手順であるSkillとして用意すれば足りそうで、この旅行アプリを使い続ける必要性はあまり感じませんでした。

アプリの形にすることで、欲しい出力の型を固める使い方はありそうです。その型を、画面を持つアプリとして使うのか、AIエージェントへ渡す手順として使うのかは、自分の作業次第です。イラスト生成アプリで感じた便利さと、旅行アプリで感じた必要性の薄さも、同じように作れた後の、使い方の違いでした。

自由に作れる体験を成立させる工夫

この日作ったアプリは、題材だけ並べればばらばらです。それでも、できあがったものには、一覧、フォーム、保存、検索、要約、自動更新といった共通の構造や部品がありました。

「何を作るか」は自由で、「どういう作りになるか」には、あらかじめ想定された型がある。しかも、その型を意識して選ばなくても、自分の言葉から作り始め、使いながら変えていけます。そのため、型の組み合わせが、自分で自由にアプリを作っている体験になります。

私がいちばんすごいと思ったのは、その体験を成立させる工夫です。個々の技術の新しさより、組み合わせ方、頼ませ方、直していける形にすることに、Muse Spacesの面白さがあると感じました。

Muse Spacesの本質は、自由さそのものを設計したところにある。よくある型と部品をうまく組み合わせ、その枠の中で、自分が自由に作っていると感じられる。私はそう考えています。

非エンジニアの妻は、自分でアプリを作れることに、とても驚いていました。その反応を見て、Muse Spacesは、ふだんコードを書かない人にも、自分の言葉からアプリを作る機会を提供するものなのだと思いました。

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